空港で働いていると、常に整備作業・天候によるイレギュラーが付きものですがその際にグランドスタッフがどのように対応しているかご存知でしょうか?
今回は2023年6月10日に発生したイレギュラーを例に、空港サイドで必要になる対応、並びにイレギュラー対応する際に大切なことをご紹介します!
先日発生したイレギュラーについて
2023年6月10日に羽田空港の誘導路でタイ航空機(バンコク行き)とエバー航空機(台北行き)が接触し、およそ2時間に渡り一部滑走路が閉鎖しました。
滑走路が閉鎖されたことで、他の航空会社の国内線・国際線の出発便に遅れが出てしまったようです。
当時ニュースでも取り上げられていたため、ご存じの方も多いのではないでしょうか?
乗員・乗客に怪我はなかったようで一安心ですが、このような事例が起きた際に考えられる空港でのイレギュラーはどのようなものがあるのでしょうか。
今回のケースで考えられるイレギュラー
出発時間・搭乗時間が変更になる
今回一部滑走路が閉鎖したことにより、本来その滑走路を使用するはずだった飛行機が飛べなくなってしまうため、別の滑走路を使用することになります。そのため、出発時間が遅れてしまいます。
何分くらい遅れるのか、遅れることで搭乗時間は何時何分に変更されるのか、グランドスタッフは関連各所と連携を取りながら、お客様へ適宜アナウンスでご案内をしていきます。
この時大切なのは正確な情報をタイムリーにお伝えすること。
出発ゲートが変更になる
次に発生するイレギュラーは、出発ゲートが変更になります。
出発時間が遅れることで、飛行機がスポット(搭乗ゲート)から出ていかなくなるので、次に入るはずだった飛行機が入れなくなります。
そのため、別の搭乗ゲートにアサインされることになります。
乗り継ぎ便があるお客様は次便への乗り継ぎが出来なくなる
到着便が遅れることで、次の乗り継ぎ便に間に合わなくなってしまうことがあります。
例えば、下記の旅程を持っていた場合
ITM(伊丹)→HND(羽田)→CTS(新千歳)
羽田の到着が遅れてしまうと、次の新千歳行きのフライトに間に合わなくなってしまいます。
次便に空席があれば振り返ることも出来ますが、空席がない場合はもう当日のフライトがない場合は最悪翌日に出発いただくこともあります。
グランドスタッフとして対応が必要になること
お客様へ出発時間・搭乗ゲート変更の案内
出発時間・登場ゲートの変更が決まった時点ですぐにアナウンスでお客様への時間変更をお伝えします。
この時大切なのは、タイムリーに正確なアナウンスをすること。
そのためにイレギュラーアナウンスでは以下の点をポイントにアナウンスをします。
・なぜ飛行機が遅れるのか
・新しい出発や搭乗時刻は何時何分になるのか
・出発時間が未定の場合、次の案内はいつ頃になるのか
飛行機の遅延が決まった時点で、グランドスタッフはすぐにアナウンスの文章を考え、お客様にご案内をします。
また、空港と機内で案内する内容が違うとお客様が混乱してしまうので、案内する内容を事前に客室乗務員と打ち合わせすることもあります。
払い戻し・便変更の手続き
次に、航空券の払い戻しや便変更の手続きの準備をします。
出発が遅延することで、お客様によっては出発を取りやめる方もいらっしゃいますので、払い戻しの手続きを実施します。
また、乗り継ぎ便をお持ちのお客様の場合、次の便に間に合わない場合があるので次便に変更しお客様へご案内します。
イレギュラー対応時に大切なこと
正しい情報をお伝えする意識を持つこと
まずは、正しい情報をお客様へタイムリーにお伝えすることです。お客様にとって一番ストレスなのは、「今何が起きているのか?次どうすればいいのか?」がわからないこと。
今何が起きているのか、お客様にはどのように案内するか、出発時間はいつ頃になるのか、関連各所と確認をして、すぐにお客様へアナウンスでお伝えします。
今何を優先するべきか冷静に判断すること
イレギュラーが発生するととにかく色んなやるべきことが発生します。
「お客様にアナウンスをしないと」「ポスターを作成しないと」「お客様の乗り継ぎ便の手配をしないと」などなど、お客様からの問い合わせも増えるためパニックになることもあります。
そんな中でも、今一番やるべきことは何か。優先事項を考えて対応する必要があります。
会社を代表して対応している自覚を持つ
飛行機が遅延したりフライトがキャンセルになると少なからずお客様からクレームをもらうことも。
別に自分のせいで飛行機が遅れたわけじゃないし、なんでこんなに言われないといけないの…と思うこともありますが、グランドスタッフは会社の代表。
誠心誠意お話を聞いてご迷惑をおかけしていることをお詫びする必要があります。
まとめ
以上、イレギュラーが発生した時のグランドスタッフの対応することについてお話ししました。
航空業界で働いているとイレギュラーはつきもの。今回のような不可抗力(自社起因でない)ケースから整備作業によるものなど、様々なイレギュラーを経験することになると思いますが、どんなケースでも大切なことは、
・正しい情報をお客様へお伝えすること
・冷静に判断して、やるべきことの優先順位をつけること
・会社を代表して対応している自覚を持つこと
イレギュラー対応は大変ですが、対応次第ではプラスになることもあります。
私も対応したお客様から「真摯に対応してくれてありがとう」と嬉しい言葉をいただいてことがあります。
今回はイレギュラー対応の一部をご紹介しましたが、グランドスタッフの仕事を知る上の手助けになれば嬉しいです!